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Home / 恋愛 / そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜 / 14.隠れ家的なんとかと言うやつ ③

14.隠れ家的なんとかと言うやつ ③

Author: 鷹槻れん
2025-06-25 18:00:13

「あまみやにはね、2人向けの個室がひとつだけあるんだ。完全予約制のそこを使うときは雨宮《あまみや》の奥方の協力が必要不可欠でね」

 そう言って、私の手を引いて店の奥手に向けて歩き出す。

「雨宮1人で切り盛りしてる店だから。カウンターが詰まってくると個室への配膳なんかまでは手が回らなくなるんだ。だからって客に取りに来させるわけにもいかないだろう?」

 そこで私の瞳をじっと覗き込んでくると

「内助の功ってやつだ。実にうらやましい」

 と小さく吐息を落とした。

「頼綱《よりつな》もそんな奥さんを見つけたらいいじゃない。病院の跡取り息子ともなれば引く手数多でしょうに」

 言って、じっと頼綱を見つめたら、「花々里、キミはひとつ勘違いをしているみたいだけど……。俺はまだ家を継いでいないからね?」と言われて。

 私は「え?」と思った。

「でも頼綱は……」

「ああ、もちろん医者だよ。けど、――まだ研修医だ」

 って嘘ぉ!

 初耳なんですが!

「いずれは実家の産婦人科を継ぐつもりではいるけどね、いま俺が配属されてるのは小児科だ」

 私はその言葉に瞳を見開いた。

 小児科という言葉で、勝手に白衣ではなく可愛い動物のアップリケがついたエプロン姿の頼綱が頭に浮かんでしまい。

 思わずププッと吹き出してしまう。

「頼綱にパンダのアップリケは似合わないと思うの」

 思わずつぶやいて「え?」という顔をされる。

「頼綱なら……。うーん、そうねぇ。ライオンとかがいいんじゃないかしら?」

 脳内でパンダ、ゾウ、キリン、ウサギ、ニワトリ、イヌ、ネコ……と次々に試着を繰り返してから、それが一番しっくりくるという結論に達した。

「まぁ、トラとオオカミも捨てがたいけど」

 あ、待って? 鰻とか案外似合いそうじゃない!?

 頼綱といえば私に美味しい

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